鑑賞録やその他の記事

その他

フレッド・アステアのホップ・ステップ・ジャンプ

Facebook の過去投稿をいくつか組み合わせたものです。 ハリウッドを代表するミュージカル・ダンサー(そして役者なおかつ歌手)として今では伝説的存在のフレッド・アステア。舞台では既に名声を得ていた彼の映画界への進出は、3本の作品でみごとにホップ…

アイダ・ルピノ監督作『恐れずに』(1950)『暴行』(50)『ヒッチハイカー』(53)

2022/5/3 および 2022/5/10 の Facebook 投稿を組み合わせたものです。 シネマヴェーラ「アメリカ映画史上の女性先駆者たち」特集で、初めてアイダ・ルピノが監督した映画を3本観た。言うまでもなく『ハイ・シェラ』(1941)『危険な場所で』(51)などの名女優…

映画『アルフィー』(1966)とバカラックの歌

書き下ろしです。 2023年2月8日、作曲家/映画音楽家のバート・バカラックが94歳で亡くなった。老衰による自然死だという。あまりにも多くの名曲を遺した天才だが、今日は本人の一番のお気に入りだった『アルフィー』について書く。 この歌、多くのひとは196…

007 あれこれ~その1

Facebook や Twitter への投稿に手を加え、再構成したものです。 007 映画とは何か。答えはいろいろあろうが、自分にとっては「悪役がボンドをなかなか殺さないもんだから殺されちゃう映画」と言えるかも。第一作『ドクター・ノオ』(1962)は捕まえたのに殺さ…

或日の鈴木清順演出

Facebook の 2017/ 2/23 の投稿に手を加えたものです。 実は俺、鈴木清順監督の『ピストルオペラ』(2001)に出てるんですよ。幻想シーンに登場する亡霊たちのひとり。プロデューサーの片嶋一貴によるキャスティングで、高橋洋、成田裕介監督らと共に調布の日…

映画監督とバンドリーダー

Facebook 内に 2014/ 5/27 に投稿した記事に手を加えたものです。 そもそも種類の違うモノを喩えるというのは、喩え遊びに過ぎないんだけど。だけどその遊びの中からほんの少し真実が顔を出すこともあると思うので、言わせてもらうと。多くの場合、映画監督…

ジョン・フォードおススメ10本

書き下ろしです。 本ブログのために自分の過去の Facebook を漁っていて、こんなのを見つけた。日付は2015年2月1日。 今日はジョン・フォードの誕生日なので、いま思いつく10本を挙げます。『三悪人』『長い灰色の線』『周遊する蒸気船』『アパッチ砦』『捜…

ジョン・フォードと淀川さん

Facebook に 2017/ 3/ 8 に投稿した記事に手を加えたものです。 俺が生まれて初めて名前を覚えた映画監督は、たぶん、黒澤明でもヒッチコックでもなく、ジョン・フォードだ。それは子供の頃に観ていた日曜洋画劇場で、『荒野の決闘』(1946)や『怒りの葡萄』(…

空飛ぶリチャード・タルマッジ

Facebook に 2020/ 6/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。 YouTube にリチャード・タルマッジのスタント集があった。自分もよく知らないひとだったが、1892年ドイツの曲芸団に生まれ、1910年代よりハリウッドでダグラス・フェアバンクスのスタントとし…

私的バーバラ・スタンウィック祭り

Facebook に 2020/ 8/28 に投稿した記事に手を加えたものです。 "ミッシー" の愛称で知られるバーバラ・スタンウィックは、最愛の映画の一本である『レディ・イヴ』(1941)で大好きだったんだけど、『大平原』(39)を観たらまた良くって、『ゴールデン・ボーイ…

ヘタ映画の効用

Facebook に 2019/ 9/19 に投稿した記事に手を加えたものです。 深夜のテレ東などで低予算映画の駄作を観ると、語りが停滞して、物語から取り残された映像を眺めている感覚にとらわれることがあった。例えば登場人物が場所移動するときに普通は省略するとこ…

大所帯アイドルの原型-ゴールドウィン・ガールズ

Facebook に 2021/11/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。 先の投稿で触れた『フーピー』(1930)は、バスビー・バークレー最初の映画、二色テクニカラーなど、映画史的に重要な作品だが。「ゴールドウィン・ガールズ」の-恐らく-初登場作という点で…

悪いことの後にいいことがある

Facebook に 2013/12/25 に投稿した記事に手を加えたものです。 前にも書いたんだけど、映画で人を泣かせるのは意外と簡単なのだ。もちろん中には、生理的に涙を流しにくい人もいるかも知れないけど、そういう人を泣かすのは笑わない王様を笑わすというのと…

政治映画としてのマカロニ

Facebook に 2020/ 9/ 2 に投稿した記事に手を加えたものです。 ジュリオ・クエスティ『情無用のジャンゴ』(1966)を、久々にDVDで再見。 セルジオ・コルブッチ『続・荒野の用心棒』(66)に始まるマカロニ・ウエスタンの伝説的キャラクター "ジャンゴ" ものの…

段取りゃいいってもんじゃない

Facebook に 2013/ 7/ 8 に投稿した記事に手を加えたものです。 映画でもテレビでもいいのだがドラマにおいて、あるシーンの一発目の画面になったとたん次の段取りが見えてしまい、激しく萎えることがある。例えば、部屋が居心地の悪い角度から撮られており…

フランク・タシュリン讃

Facebook に 2020/ 9/23 に投稿した記事に手を加えたものです。 最近、フランク・タシュリン監督の映画をDVDで立て続けに3本も観てしまいました。アニメーションから出発し、ジェリー・ルイスの底抜けシリーズなどで実写にも腕をふるったひと。 きっかけは…

漫画・アニメの実写化は日本の伝統

Facebook に 2014/ 6/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 江戸時代、漫画・アニメの実写化に近い位置にあるものは何だったんでしょうか。俺は人形浄瑠璃を歌舞伎化した、いわゆる「丸本物」がソレに近いと思うんです。歌舞伎の三大狂言と言われる『仮…

映画の発見

Facebook に 2014/ 4/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 一度でも映画を-いや、映像作品を-作った人間なら、それによって現実世界でのモノの見方が変化したことを感じる局面があると思う。極端な話、映画を見るように現実を見てしまっている瞬間が…

どのアニーがお好き?

Facebook に 2021/12/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 ジョージ・スティーヴンス監督作品『愛の弾丸』(35)を観ました。原題はズバリ、"Annie Oakley" というわけで、ミッシーことバーバラ・スタンウィックがアニー・オークレイを演じます。ご存知な…

スター発見

Facebook に 2013/ 6/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。 ウィル・スミスって大好きなんですけど。『ワイルドバンチ』(1969)のリメイクに出るという噂を聞いて「お!」と思ったら、現代劇版って話じゃないですか。ならゴダールにでも撮らせろよ…と、暴…

こういうことってあるよな

Facebook に 2013/ 1/21 に投稿した記事に手を加えたものです。 映画に於いて「こういうことってあるよな」「こういう人っているよな」と観客に思わせることは、非常に大切である。 例えば『カリフォルニア・ドールズ』(1981)のラストの決戦の前にピーター・…

「そのとき」

Facebook に 2013/ 1/14 に投稿した記事に手を加えたものです。 『ゴダールのマリア』(84)が公開された頃、脚本家・監督の高橋洋が「『そのとき』って字幕が頻繁に出るんだって? 面白いこと考えるねえ!」と感嘆していたのは、彼がエイゼンシュテイン好きで…

小説のように

Facebook に 2013/ 1/10 に投稿した記事に手を加えたものです。 映画のモンタージュの勉強をするのに、既存の映画から絵コンテを起こしてみるってのもそりゃ勉強になりますよ。でも、例えばこんなのはどうでしょう?既存の映画のカット割を、小説の文章に置…

ちょっともう無理す

Facebook に 2018/ 6/13 に投稿した記事に手を加えたものです。 核ミサイル基地ジャックを描いた『合衆国最後の日』(1977)でミサイルがぐおーっと出てくるところ、実際はあそこまで行って止められない気もする。しかしそんな正確さより、映画では「これはも…

『合衆国最後の日』の思い出

Facebook に 2012/ 10/ 13 に投稿した記事に手を加えたものです。 渋谷シアターNで久々にリバイバル上映された『合衆国最後の日』(1977)ですが。この映画の初公開時には、ちょっとした思い出があります。その日、京都の高校生だった俺は、友達三人と新京極に…

『鏡の中にある如く』『クモ男爵』、そしてオッタモール氏の蜘蛛

Facebook に 2012/ 10/ 1 に投稿した記事に手を加えたものです。 nlab.itmedia.co.jp> 夜道を歩いていてふと見上げると、目の前のビルの中に巨大なクモが――そんな恐怖体験ができる映像トリックをドイツの学生が編み出しました。> このトリックは、容器に入っ…

浅草に生きていた映画

Facebook に 2012/ 8/ 1 に投稿した記事に手を加えたものです。 浅草六区から映画館がなくなるというニュースが伝えられました。俺は熱心に通ったわけではありませんが。それでも大学生の頃は、何度か足を運んだものです。六区通りを肉体労働スカウトの声を…

ドラマの臨界点

Facebook に 2012/ 2/15 に投稿した記事に手を加えたものです。 ドラマ作りで最も大切なのはクライマックスと思われがちですが、実は、その直前が重要だったりするんですよ。 最高潮に盛り上がって、世界が変わって、なだれこむ。こうした、いわば臨界点のよ…

高橋洋と電話で『キル・ビル』のことを話す

サイト『映画道』に 2004/ 3/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 さっき脚本家の高橋洋から電話がかかってきて、彼がいま監督として取りかかっているDV撮りの映画についてちょっとした相談を受けたわけだが、ついでにいろいろと世間話もしたりして、…

ルパン三世と大和屋さん

個人ホームページに 1999/5/08 に投稿した記事に手を加えたものです。 近所のパチンコ屋でルパン三世のノボリが目に入った。デジパチなどというものは得意でない俺だが、その日は何となく気分で入店。くだんの台の前に座った。ぼんやりと打ちながら、考えて…