鑑賞録-タイトルは行
書き下ろしです。 ヴィム・ヴェンダース監督が日本で撮影し、役所広司がカンヌで最優秀男優賞に輝いた『PERFECT DAYS』(2023)を観た。 役所演じるひとり暮しの男、平山が、朝起きて車で出発し、渋谷各地の公園のトイレを清掃してまわる繰り返しの日々と、そ…
書き下ろしです。 シネマヴェーラ渋谷で『二日間の出会い』(1945)。ジュディ・ガーランドが歌わない映画で、監督はこの年、ジュディと結婚することになるヴィンセント・ミネリ。実は自分、ミネリの有名作は『巴里のアメリカ人』(51)も『バンド・ワゴン』(53)…
書き下ろしです。 レコードそして CD と音楽はディスクで聴く世代の自分も、時代に逆らえず遂に Apple Music に登録。以来、「昔ちょっと興味を持ったがのめり込むまでいかなかった音楽再発見の旅」を続けていて、最近はワールド・ミュージックのターンに入…
書き下ろしです。 冨永昌敬監督作『白鍵と黒鍵の間に』(23)をイオンシネマ板橋で。 舞台は80年代の銀座。ある一夜に、夢抱える若きジャズ・ピアニストと、その3年後の姿が、すぐ近くの別の場所に同時に存在するような、不思議にねじれた物語。池松壮亮が演…
2019/12/27 の Facebook 投稿に手を加えたものです。 シネマヴェーラでマックス・ノセック『犯罪王ディリンジャー』ジョセフ・H・ルイス『私の名前はジュリア・ロス』と、奇しくも同じ1945年に作られた言葉の本来の意味での「B級映画」を、二本立てのように…
Facebook の 2020/2/2 の投稿に手を加えたものです。 ずっと見逃していた深作欣二監督『暴走パニック 大激突』(76)を、Amazon Prime で。 渡瀬恒彦演じる若き強盗は、二人組で銀行を荒らし回っていた真っ最中に頼りの相棒を亡くしてしまう。やがて最後の仕事…
Facebook に 2021/6/14 に投稿した記事に手を加えたものです。 橋本一監督作品『HOKUSAI』(20)( ※注1)を観る。タイトル通り、世界的な絵画の巨匠、葛飾北斎の人生を描いた作品だ。 開巻まもなく浮世絵の大手版元/販売店の蔦屋への幕府の弾圧が描かれる。…
書き下ろしです。 スティーヴン・スピルバーグ監督最新作『フェイブルマンズ』(2023)を観る。これはかなり手強い傑作だ。あまりにも語りたいことが多すぎて収拾がつかず、このままでは書けなくなってしまうので、とにかく綴ってみよう。 これまで大人か子供…
Facebook に 2020/11/10 に投稿した記事に手を加えたものです。 サム・ペキンパー監督作品『昼下がりの決斗』(62)。とある金鉱から金を持ち帰る仕事にありついた元保安官(ジョエル・マクリー)と、その応援に雇われた曲者ガンマン(ランドルフ・スコット)…
ほぼ描き下ろしです。 『ベイビーわるきゅーれ』第一作(21)はめちゃくちゃ気に入って、見た当日の Facebook には次のように投稿した。 阪元裕吾監督作『ベイビーわるきゅーれ』、可愛い女の子殺し屋ふたり(髙石あかり、伊澤彩織)にかかれば、アパートの巣…
Facebook の 2019/5/11 の投稿に手を加えたものです。 「エドガー・G・ウルマー DVD-BOX」収録の一本、『ハーレムにかかる月』(39)を鑑賞。ハーレムを舞台にした無名の黒人役者たちによるいわゆる "レイス・フィルム"(※注)。資産ある未亡人を篭絡したギャ…
Facebook の 2013/9/3 の投稿に手を加えたものです。 DVD(※注1)でロバート・ロッセン監督作品『ボディ・アンド・ソウル』('47)。久しぶりに見直した。我が生涯のベスト作品の一本である。 タイトルは有名なスタンダード・ソングから。歌ならビリー・ホ…
書き下ろしです。 世界で最も身も蓋もない大監督、ポール・バーホーベンの新作『ベネデッタ』を、ヒューマントラストシネマ渋谷で観る。 17世紀イタリアの修道院を舞台に、幼い日には聖母マリアに、成長してキリストに近づいた(と、本人も周囲も思い込むよ…
Facebook の 2020/12/19 の投稿に手を加えたものです。 (バッファロー・ビルの映画その1『西部の王者』(1944)からつづく) バッファロー・ビル映画見比べ、二日目はロバート・アルトマン監督作品『ビッグ・アメリカン』(76)。ポール・ニューマン主演で、西…
Facebook の 2022/ 6/ 4 の投稿に手を加えたものです。 吉野耕平監督作品『ハケンアニメ!』を観る。同名の小説を原作に、1クールのアニメを任された吉岡里帆演じる新人監督の奮闘と、彼女に関わる人間模様を-ライバル番組関係者も含めて-描いていく。な…
Facebook の 2021/ 1/ 9 の投稿に手を加えたものです。 『無頼の群』を観る。西部劇史上の傑作『拳銃王』(50)同様、ヘンリー・キング監督がグレゴリー・ペックと組んだ西部劇だ。緊密な『拳銃王』に比べ、カラーでシネマスコープな分、ざっくりとした画面構…
Facebook の 2021/ 2/ 6 の投稿に手を加えたものです。 土井裕泰監督作品『花束みたいな恋をした』(※注)。オタク気質の男女が出会い、長い春を経て別れるまでを描く-と書いてもネタバレじゃないですよ、既に別れてるところから始まって数年前の出会う前に…
Facebook に 2013/ 6/16 に投稿した記事に手を加えたものです。 第22回プロフェッショナル映画大賞で新人監督賞を受賞した三宅唱の『Playback』だが、これは本当に刺激的な物凄い作品なのだ。内容は、ひとりの男が友人の結婚式で故郷に戻り、過去を振り返る…
Facebook に 2021/ 4/22 に投稿した記事に手を加えたものです。 昨日は一昨日に引き続き、新文芸坐の清水宏特集へ。 『蜂の巣の子供たち』は清水が面倒を見ていた浮浪児/戦災孤児たちを起用したオール・ロケの自主制作作品。ネオレアリズモ諸作が日本公開さ…
Facebook に 2021/ 4/20 に投稿した記事に手を加えたものです。 新文芸坐の清水宏監督特集へ。 『花形選手』(37)は驚くべき自由な映画。兵学校の一泊二日の野外訓練を描いているのだが、太平洋戦争開戦4年前の田舎の描写は実に平和で楽しい。学生兵の隊列…
書き下ろしです。 『ハスラー』が映画館にかかるとなれば、観ぬわけにはいくまい。テアトル・クラシックスのポール・ニューマン特集での番組だが、自分には何といってもロバート・ロッセン監督作品というのが大きい。まだ助監督だった頃の青山真治と話してい…
Facebook に 2019/12/17 に投稿した記事に手を加えたものです。 『無頼の谷』をDVDで。フリッツ・ラング監督の西部劇は『地獄への逆襲』(40)『西部魂』(41)は観ているが、これは初見。最初の主人公アーサー・ケネディの恋人が強盗殺人に遭うところが、金庫を…
Facebook に 2020/ 1/ 9に投稿した記事に手を加えたものです。 数多くのビリー・ザ・キッドものの中で古典的な有名作、1930年版『ビリー・ザ・キッド』をDVDで。監督はキング・ヴィダーだが、自分はこのハリウッドの大巨匠の映画、『白昼の決闘』(46)『戦争…
Facebook に 2018/11/11に投稿した記事に手を加えたものです。 池袋のシネマ・サンシャインで『ボヘミアン・ラプソディ』。既に皆さん御存知かと思うが、クイーンのボーカルのフレディ・マーキュリーを主人公とした実録ロック・ムービー。前半のエピソードを…
Facebook 内のグループに 2020/ 9/12に投稿した記事に手を加えたものです。 レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウもの「さらば愛しき女よ」を映画化した『ブロンドの殺人者』(ひどい邦題w)を、数年前のリバイバル時に映画館で観て以来DVDで再…
Facebook に 2021/ 4/12 に投稿した記事に手を加えたものです。 『暴力部落の対決』をDVDで。テレビドラマ『シャイアン』『サンセット77』などを手がけた職人、リチャード・L・ベア監督によるランドルフ・スコット西部劇。敬虔なクエーカー教徒に化けたラ…
Facebook 内に 2022/ 1/29 に投稿した記事に手を加えたものです。 晴れた土曜だしオサレ映画を観てやろうと、ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(21)へ。観終えたいまも、もちろんタイトルは覚え…
Facebook 内のグループに 2021/11/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 コメディアンとして人気を誇ったエディ・カンターのミュージカル・ウエスタン『フーピー』が全篇、YouTubeに上がっていた。原題は "Whoopee!" で映画内では "ウーピー" と聞こえる…
Facebook に 2021/ 6/16 に投稿した記事に手を加えたものです。 ヘンリー・キング監督作『慕情』といえば、主題歌があまりにも有名だが。この映画には驚くべきことに恋愛しか無いのだ。出会ってからは、ずっと恋愛してて、最後に別れがあるだけで。他の恋愛…
Facebook に 2013/12/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 森﨑東監督、待望の新作『ペコロスの母に会いに行く』をようやく観ることができた。原作は未読なので、実話を基にした認知症の母とその子を扱ったものとしか知らない。 始まってすぐに、いわゆ…