鑑賞録やその他の記事

『合衆国最後の日』の思い出

Facebook に 2012/ 10/ 13 に投稿した記事に手を加えたものです。

渋谷シアターNで久々にリバイバル上映された『合衆国最後の日』(1977)ですが。この映画の初公開時には、ちょっとした思い出があります。
その日、京都の高校生だった俺は、友達三人と新京極に遊びに出かけたのでした。そして映画を観ようという話になり、俺と一人は『合衆国最後の日』を、あとの二人は当時大人気だった竹下景子主演の『雨のめぐりあい』(77)を強力に主張したのです。
「だってお前、合衆国最後の日やで!核ミサイル基地をジャックしよるんやで!」
「そんなん、シンキクサイ映画かも知れんやん!竹下景子がええわ!」
…てなわけで、互いに譲らず、結局2:2で別れて観に行くことになったのでした。
(実はこのとき、俺と共に『合衆国最後の日』を主張したK君というのがなかなか頑固な人で、彼と一緒じゃなければ、俺も竹下景子に折れていたかも知れません)
案の定、俺たちは『合衆国最後の日』に打ちのめされ、
「絶対、正解やったな!」
と、意気揚々と家路についたものでした。帰ってからも、何度もミサイル発射すれすれの映像を頭の中で反芻したものです。

翌日、俺は学校で『雨のめぐりあい』組の二人に会い、
「どやった!? こっちは、最高やったで!」
と、語りかけました。
「うん…まあまあやったかな…。それより一緒にやってた映画が、わけわからんヤツで参ったわ!」
それみい、俺らと一緒の映画にせえへんから、そんなん観てしまうんや! 勝利の瞬間でございました。

あれから30余年、俺はその "一緒にやってたわけわからんヤツ" もロードショーで観ておくべきであったと、ちょっぴり後悔しております。
悲愁物語』という映画です。