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自滅願望の暴力-『何がジェーンに起こったか』(1962)

Facebook 内に 2018/ 6/ 1 に投稿した記事に手を加えたものです。

アルドリッチ何がジェーンに起こったか』は、ベティ・デイビスのジェーンとジョーン・クロフォードのブランチという見た目も強烈な二人が、姉妹間の憎悪を燃え上がらせる対決のドラマだが。タイトルに沿って、まずはジェーンの近親憎悪と自己破滅の話と見ることもできる。
この自己破滅の部分こそがミソで、ドラマを動かす原動力は、ジェーンの自滅願望なのだ。つまりは、子役の頃の栄光を失ったジェーンの長い長い自殺の話。いかにして自分が死にたいという願望を、あるいはそれを認めたくないことを、自分の近しいひとになすりつけるかが悲劇の連鎖を生む。もともとの自己愛が強いほど、その行動は極端なものとなる。これはシナリオ上の登場人物の行動原理を考える上で、大いに勉強になろう。
人を殺したり傷つけたりする人物は、自分自身が死の隣にいるのだ。

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