鑑賞録やその他の記事

『暴力部落の対決』(1957)

Facebook に 2021/ 4/12 に投稿した記事に手を加えたものです。

暴力部落の対決』をDVDで。テレビドラマ『シャイアン』『サンセット77』などを手がけた職人、リチャード・L・ベア監督によるランドルフ・スコット西部劇。
敬虔なクエーカー教徒に化けたランディら三兵士が、街を牛耳る悪徳ボスと対決するという趣向で、ひねりの効いた脚本を、ユーモラスかつテキパキとした演出で見せてくれる痛快篇。邦題の禍々しさに反して、気楽に楽しめる出来栄えだ。
三兵士のひとりにジェームズ・ガーナー、敵役に『南部に轟く太鼓』(51)のジェームズ・クレイグ、そしてヒロインがアンジー・ディキンソンという嬉しいキャスティング。二番手のヒロインを演じるダニー・クレインというのがまた素敵な姉御で、アンジーと並べば眼福の感が、映画を明るくしている。
前年の『七人の無頼漢』などバッド・ベティカー監督と充実作を連発していた時期のランディは、年齢的には還暦目前のはずだがよく動き、最後はクレイグと体を張って戦う。そこで街に来た理由が効いてくる仕掛けがあるのだが、詳しくは書くまい。ツボは外さぬ作り手のプロ意識が伝わるようだ。
堕落した老保安官が最終的にはちょっぴり泣かせるというのも、いい味つけになっている。