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夢の映画『類猿人ターザン』(1932)

Facebook の 2022/ 1/27 の投稿に手を加えたものです。

W・S・ヴァン・ダイク監督作『類猿人ターザン』(32)を観る。
ターザンは多くの俳優に演じられてきたが、中でも名高いジョニー・ワイズミュラーによる第一作。「これぐらい押さえておかないとな」ぐらいの気持ちで観たのだが、いや、これは少年期の横尾忠則(※注)が夢中になるのも分かる神秘と冒険の世界ですわ。
物語は都会育ちの活発な娘ジェーンが、ジャングル育ちの怪青年ターザンと、めでたくカップルになるまでの顛末を描いたもの。始まってしばらくは平板なドラマ演出と、ロケとスタジオのあまりの繋がらなさに心配になったが。ジャングルでの冒険が始まり、なまめかしいマッチョのワイズミラーが樹上を駆け巡り始めてからは、異様な夢が可視化されたような気分になる。動物たちのイキイキした描写も凄く、猿だの象だの圧巻ですよ。
ジェーンを演じるのは、ダグラス・サーク監督作『わが望みのすべて』(53)で最近見たばかりのモーリン・オサリヴァンミア・ファローのお母さんね)で当時まだ21歳。若い、かわいい。ターザンと水中で戯れるシーンの不思議なエロスは、心ざわめくものがある。

注:ジョニー・ワイズミュラーのターザンは、美術家の横尾忠則の作品に繰り返し引用されるイメージのひとつである。

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類猿人ターザン(字幕版)