鑑賞録やその他の記事

映画の青春『激怒』(2022)

Facebook に 2022/ 8/30 に投稿した記事に手を加えたものです。

激怒』を観る。
監督の高橋ヨシキと主演の川瀬陽太森田一人とプロデューサーを務め、いま自分周辺のSNSで最も応援されてる映画。だから正直、もしダメなら困ってしまうところだが、まず何よりもプロの大人たちが俺の知るかつての自主映画学生(の中でも「本気」だった連中)のように、一所懸命身体を張って映画を遊んでるのに嬉しくなった。例えば『狂い咲きサンダーロード』(1980)を同時代的に観たときの興奮と同質のものが沸いてくる。いつまでも若い人々の「映画の青春」が、ここにはあるのだ。
物語は、川瀬演じる暴力衝動を秘めた刑事が、町の平和を保つ浄化運動の恐ろしい正体に直面し、タイトル通りの「激怒」のクライマックスに向かうというもの。展開上の細かい疑問はいくつかあるし、もっとビックリさせたり膝を叩かせて欲しかったという思いもあるが。禍々しい雰囲気を保ちつつ人物に肉薄し続けようとするカメラに頼もしい「映画らしさ」を感じる。また、舞台となる架空の町を成立させるための美術や衣装にも気合が入っていて、スクリーン内の世界に身を浸す楽しみもある。準備は出来たぞ、血しぶきを見せてくれい!-という気持ちを作ってくれる。
自分も応援できる映画になってて、良かった。

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