鑑賞録やその他の記事

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『ある男』(2022)

書き下ろしです。 石川慶監督作品『ある男』の評判が良いので、観に行った。平野啓一郎の小説の映画化だ。山間の町に住む理枝は愛する夫の事故死をきっかけに、"谷口大祐" という彼の名前と素性が全く他人のものだったという衝撃の事実に直面する。彼女の依…

『すずめの戸締まり』(2022)に脱帽

Facebook 内に 2022/11/22 に投稿した記事をベースにしてますが、ほぼ書き下ろしです。 新海誠監督作品『すずめの戸締まり』。自分は『君の名は。』(16)は火口のシーンなどが気恥ずかしくてどうにも苦手だったのだが、本作は評判もいいので観に行ってみた。…

映画監督とバンドリーダー

Facebook 内に 2014/ 5/27 に投稿した記事に手を加えたものです。 そもそも種類の違うモノを喩えるというのは、喩え遊びに過ぎないんだけど。だけどその遊びの中からほんの少し真実が顔を出すこともあると思うので、言わせてもらうと。多くの場合、映画監督…

鶴田法男監督の中国映画『戦慄のリンク』(2020)

Facebook 内に 2022/ 7/16 に投稿した記事に手を加えたものです。 昨日は新宿シネマカリテへ。カリコレ(※注1)での鶴田法男監督の中国映画『戦慄のリンク』、待望の国内初上映に駆けつける。ネット小説を巡る暗黒サスペンスを、不穏なカメラワークとツボを…

『ハスラー』(1961)を映画館で観る

書き下ろしです。 『ハスラー』が映画館にかかるとなれば、観ぬわけにはいくまい。テアトル・クラシックスのポール・ニューマン特集での番組だが、自分には何といってもロバート・ロッセン監督作品というのが大きい。まだ助監督だった頃の青山真治と話してい…

バーバラ・スタンウィック版『ステラ・ダラス』(1937)

Facebook に 2022/ 2/ 5 に投稿した記事に手を加えたものです。 大好きな "ミッシー" ことバーバラ・スタンウィックの代表作の一本、『ステラ・ダラス』の DVD を買った。監督はキング・ヴィダーでヘンリー・キングのサイレント映画のリメイク。キングつなが…

『続・荒野の用心棒』(1966)をスクリーンで観る

Facebook に 2020/ 2/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 セルジオ・コルブッチ監督によるマカロニ・ウエスタンの異常傑作『続・荒野の用心棒』を、シネマート新宿に夫婦で観に行く。映画館で観るのは初。泥土をズルズルと棺桶を引きずって歩くジャン…

『天間荘の三姉妹』(2022)

Facebook に 2022/11/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 『天間荘の三姉妹』を観る。いま作られることの大切さを考えたメッセージ性あふれる意欲作で、最初の長回しから「映画だぞ!」と堂々と打ち出し、砂浜に寝転ぶ真俯瞰から海と空へのメインタイ…

映画の青春『激怒』(2022)

Facebook に 2022/ 8/30 に投稿した記事に手を加えたものです。 『激怒』を観る。監督の高橋ヨシキと主演の川瀬陽太が森田一人とプロデューサーを務め、いま自分周辺のSNSで最も応援されてる映画。だから正直、もしダメなら困ってしまうところだが、まず何よ…

ジョン・フォード『血涙の志士』(1928)

Facebook に 2022/ 8/14 に投稿した記事に手を加えたものです。 シネマヴェーラのジョン・フォード特集、かつてフィルムセンターで観たはずの『血涙の志士』を全く覚えてないので、気になって観に行く。するとこれが驚くべきオモシロ映画で、アイルランドの…

ジョン・フォード『モガンボ』(1953)『最敬礼』(29)

Facebook に 2022/ 8/ 2 に投稿した記事に手を加えたものです。 シネマヴェーラのジョン・フォード特集、今日は『モガンボ』と『最敬礼』。いずれも初見。 『モガンボ』は、「腕と度胸の仕事師が、世間ずれしたタフな女といい雰囲気になるが、育ちのいい美人…

ジョン・フォード『戦争と母性』(1933)『モホークの太鼓』(39)

Facebook に 2022/ 7/26 に投稿した記事に手を加えたものです。 シネマヴェーラのジョン・フォード特集2本。いずれも初見。 『戦争と母性』は、ヘンリエッタ・クロスマン扮する頑固な母親が、息子を溺愛するあまり自ら招いた悲劇と贖罪の物語。砂利道に柵と…

ジョン・フォードおススメ10本

書き下ろしです。 本ブログのために自分の過去の Facebook を漁っていて、こんなのを見つけた。日付は2015年2月1日。 今日はジョン・フォードの誕生日なので、いま思いつく10本を挙げます。『三悪人』『長い灰色の線』『周遊する蒸気船』『アパッチ砦』『捜…

ジョン・フォードと淀川さん

Facebook に 2017/ 3/ 8 に投稿した記事に手を加えたものです。 俺が生まれて初めて名前を覚えた映画監督は、たぶん、黒澤明でもヒッチコックでもなく、ジョン・フォードだ。それは子供の頃に観ていた日曜洋画劇場で、『荒野の決闘』(1946)や『怒りの葡萄』(…

『西部魂』(1941)

Facebook に 2021/ 7/ 2 に投稿した記事に手を加えたものです。 フリッツ・ラング監督作『西部魂』を久々に再見。ウエスタン・ユニオン電信会社の大工事を描いた大作西部劇だ。トップ・クレジットはロバート・ヤングだが、南軍ゲリラ活動もしていたアウトロ…

『無頼の谷』(1952)

Facebook に 2019/12/17 に投稿した記事に手を加えたものです。 『無頼の谷』をDVDで。フリッツ・ラング監督の西部劇は『地獄への逆襲』(40)『西部魂』(41)は観ているが、これは初見。最初の主人公アーサー・ケネディの恋人が強盗殺人に遭うところが、金庫を…

『ビリー・ザ・キッド』(1930)

Facebook に 2020/ 1/ 9に投稿した記事に手を加えたものです。 数多くのビリー・ザ・キッドものの中で古典的な有名作、1930年版『ビリー・ザ・キッド』をDVDで。監督はキング・ヴィダーだが、自分はこのハリウッドの大巨匠の映画、『白昼の決闘』(46)『戦争…

『アムステルダム』(2022)

書き下ろしです。 デヴィッド・O・ラッセル監督作『アムステルダム』をイオンシネマ板橋で。第一次大戦の英雄である将軍の戦後の死を暗殺の疑いがあると知った元部下の医者と弁護士が、冤罪を被りながらもその真相から世界的な陰謀にまで辿り着く物語。主人…