鑑賞録やその他の記事

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

自滅願望の暴力-『何がジェーンに起こったか』(1962)

Facebook 内に 2018/ 6/ 1 に投稿した記事に手を加えたものです。 アルドリッチ『何がジェーンに起こったか』は、ベティ・デイビスのジェーンとジョーン・クロフォードのブランチという見た目も強烈な二人が、姉妹間の憎悪を燃え上がらせる対決のドラマだが…

大所帯アイドルの原型-ゴールドウィン・ガールズ

Facebook に 2021/11/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。 先の投稿で触れた『フーピー』(1930)は、バスビー・バークレー最初の映画、二色テクニカラーなど、映画史的に重要な作品だが。「ゴールドウィン・ガールズ」の-恐らく-初登場作という点で…

『フーピー』(1930)

Facebook 内のグループに 2021/11/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 コメディアンとして人気を誇ったエディ・カンターのミュージカル・ウエスタン『フーピー』が全篇、YouTubeに上がっていた。原題は "Whoopee!" で映画内では "ウーピー" と聞こえる…

『エンジェル・グラディエーター』(1973)

Facebook に 2021/ 3/23 に投稿した記事に手を加えたものです。 先頃亡くなったスティーヴ・カーヴァー(※注)の長編デビュー作で、日本では劇場未公開の『エンジェル・グラディエーター』をDVDで。初見。古代ローマ、見世物として命をかけた剣闘をさせられ…

『5つ数えれば君の夢』(2014)

Facebook に 2014/ 3/23 に投稿した記事に手を加えたものです。 『5つ数えれば君の夢』を、ロードショーで観る。文化祭数日前から当日までの女子校を舞台に、東京女子流の全員(※注1)を主役格にした映画だ。 不動のセンター、新井ひとみは超然とした美少…

絶対恋愛映画『慕情』(1955)

Facebook に 2021/ 6/16 に投稿した記事に手を加えたものです。 ヘンリー・キング監督作『慕情』といえば、主題歌があまりにも有名だが。この映画には驚くべきことに恋愛しか無いのだ。出会ってからは、ずっと恋愛してて、最後に別れがあるだけで。他の恋愛…

悪いことの後にいいことがある

Facebook に 2013/12/25 に投稿した記事に手を加えたものです。 前にも書いたんだけど、映画で人を泣かせるのは意外と簡単なのだ。もちろん中には、生理的に涙を流しにくい人もいるかも知れないけど、そういう人を泣かすのは笑わない王様を笑わすというのと…

『ペコロスの母に会いに行く』(2013)

Facebook に 2013/12/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 森﨑東監督、待望の新作『ペコロスの母に会いに行く』をようやく観ることができた。原作は未読なので、実話を基にした認知症の母とその子を扱ったものとしか知らない。 始まってすぐに、いわゆ…

政治映画としてのマカロニ

Facebook に 2020/ 9/ 2 に投稿した記事に手を加えたものです。 ジュリオ・クエスティ『情無用のジャンゴ』(1966)を、久々にDVDで再見。 セルジオ・コルブッチ『続・荒野の用心棒』(66)に始まるマカロニ・ウエスタンの伝説的キャラクター "ジャンゴ" ものの…

『恋は雨上がりのように』(2018)

Facebook に 2018/ 7/ 1 に投稿した記事に手を加えたものです。 ネットの評判でふだんあまり観ないタイプの日本映画に行って良かったことは正直、あんまりないのだが。永井聡監督作品『恋は雨上がりのように』、これは相当の手応えだった。作り手が小松菜奈…

『ブレット・トレイン』(2022)

Facebook に 2022/ 9/ 5 に投稿した記事に大幅に手を加えたものです。 デヴィッド・リーチ監督作『ブレット・トレイン』。オフビートで騒がしいマンガを、ブラピが楽しそうに演じるお気楽コメディ・アクション。伊坂幸太郎原作というのも話題で、舞台は一応…

『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)

Facebook に 2022/ 2/12 に投稿した記事に手を加えたものです。 スティーヴン・スピルバーグ監督作品『ウエスト・サイド・ストーリー』。これほど名曲揃いのミュージカルともなると、「あの曲はどんな風に?」と思ってしまうことは避けられないし、また自然…

『ラ・ラ・ランド』(2016)

Facebook に 2017/ 3/ 5 に投稿した記事に手を加えたものです。 『ラ・ラ・ランド』を観た。 ノレないところ。まず、絵が重い。例えばの話、軽やかなクレーンの使い方がされていたら、かなり違う。芝居も含め、自由な遊び感覚に欠ける。粋じゃない。シンプル…

『暗黒街の美女』(1958)

Facebook に 2019/12/16 に投稿した記事に手を加えたものです。 ネット上で『暗黒街の美女』を拾って観る。鈴木清順がデビュー3年目の58年に、本名の清太郎から改名して初の作品。同年には秀作『影なき声』もある。主演は水島道太郎と白木マリだが、悪役の…

『散弾銃の男』(1961)

Facebook に 2017/ 1/29 に投稿した記事に手を加えたものです。 チャンネルNECOで録画した『散弾銃(ショットガン)の男』(61)を観る。鈴木清順監督、二谷英明主演の山村西部劇。見せ場の連続サービスを心がけたのだろうが、常に過剰な感じがあって落ち着…

段取りゃいいってもんじゃない

Facebook に 2013/ 7/ 8 に投稿した記事に手を加えたものです。 映画でもテレビでもいいのだがドラマにおいて、あるシーンの一発目の画面になったとたん次の段取りが見えてしまい、激しく萎えることがある。例えば、部屋が居心地の悪い角度から撮られており…

『エルヴィス』(2022)

Facebook に 2022/ 7/ 7 に投稿した記事に手を加えたものです。 『エルヴィス』の伝記映画!ニュースを知ったのは8年前、それだけなら高揚するはずが、監督が苦手なバズ・ラーマンと知った落胆。この複雑な思いを抱えたまま公開日が迫って、予告篇を観る。…

ゴダール初の3D映画『さらば、愛の言葉よ』(2014)

Facebook に 2015/ 3/ 2 に投稿した記事に手を加えたものです。 『さらば、愛の言葉よ』を観る。ゴダールの3Dは空間の広がりというより、まず、目前を手で塞がれるような圧力として示される。嘘の立体化によって、「そこに在ること」の揺るぎなさが捏造され…

ジャン=リュック・ゴダール『イメージの本』(2018)

Facebook に 2019/ 5/20 に投稿した記事に手を加えたものです。 ゴダール最新作『イメージの本』を観た。彼の頭に残る古典映画からニュース、Youtubeに至る多様な映像を自身のナレーションと断片的な音を重ねながら、モンタージュし続ける音楽的な作品。映像…

フランク・タシュリン讃

Facebook に 2020/ 9/23 に投稿した記事に手を加えたものです。 最近、フランク・タシュリン監督の映画をDVDで立て続けに3本も観てしまいました。アニメーションから出発し、ジェリー・ルイスの底抜けシリーズなどで実写にも腕をふるったひと。 きっかけは…

『ソウル・フラワー・トレイン』(2013)

Facebook に 2013/ 9/28 に投稿した記事に手を加えたものです。 西尾孔志監督作品『ソウル・フラワー・トレイン』(2013)。公開時、高橋洋が森崎東監督の名を出して紹介していたので、「これは俺が観ねば」と新宿 K's Cinema の上映最終日に駆けつけた。 冒頭…

漫画・アニメの実写化は日本の伝統

Facebook に 2014/ 6/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 江戸時代、漫画・アニメの実写化に近い位置にあるものは何だったんでしょうか。俺は人形浄瑠璃を歌舞伎化した、いわゆる「丸本物」がソレに近いと思うんです。歌舞伎の三大狂言と言われる『仮…

『荒野の女たち』(1966)

Facebook に 2022/ 9/11 に投稿した記事に手を加えたものです。 シネマヴェーラ渋谷のジョン・フォード特集で、『荒野の女たち』を観る。この巨匠監督の滅多に劇場にかからない遺作で、念願の初見だ。絶賛するひともいる一方、批判的な意見も多いので、どん…

『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(2014)

Facebook に 2014/ 5/20 に投稿した記事に手を加えたものです。 『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(長えよ)を観た。 前半のユルさに乗りづらかったとか、伏線を生かせてないとか、小道具の使い方がいまひとつとか、市庁舎を乗っ…

映画の発見

Facebook に 2014/ 4/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 一度でも映画を-いや、映像作品を-作った人間なら、それによって現実世界でのモノの見方が変化したことを感じる局面があると思う。極端な話、映画を見るように現実を見てしまっている瞬間が…

どのアニーがお好き?

Facebook に 2021/12/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 ジョージ・スティーヴンス監督作品『愛の弾丸』(35)を観ました。原題はズバリ、"Annie Oakley" というわけで、ミッシーことバーバラ・スタンウィックがアニー・オークレイを演じます。ご存知な…

スター発見

Facebook に 2013/ 6/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。 ウィル・スミスって大好きなんですけど。『ワイルドバンチ』(1969)のリメイクに出るという噂を聞いて「お!」と思ったら、現代劇版って話じゃないですか。ならゴダールにでも撮らせろよ…と、暴…

『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』(2019)

Facebook に 2022/ 5/ 4 に投稿した記事に手を加えたものです。 新宿で時間が余ったので適当な映画はないかと、シネマカリテで『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』を選択。還暦過ぎの自分には我らの時代の歌姫で、好感は持っているが…

『コーダ あいのうた』(2021)

Facebook に 2022/ 4/30 に投稿した記事に手を加えたものです。 シアン・ヘダー『コーダ あいのうた』。聾唖の一家で唯一健常者として育った少女が歌に目覚めて夢を目指すという、アカデミー作品賞受賞作。いかにもな良心作にはあまり食指が動く方ではないの…

『デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-』(2017)

Facebook に 2020/10/26 に投稿した記事に手を加えたものです。 『デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-』をブルーレイで。『ブルータル・ジャスティス』(2018)を映画館で観て驚愕し、処女作の『トマホーク ガンマンvs食人族』(15)にも感服したS・クレイグ…