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『デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-』(2017)

Facebook に 2020/10/26 に投稿した記事に手を加えたものです。

デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-』をブルーレイで。『ブルータル・ジャスティス』(2018)を映画館で観て驚愕し、処女作の『トマホーク ガンマンvs食人族』(15)にも感服したS・クレイグ・ザラー監督だが、今のところ自分はこれがベストだ。

妻と生まれてくる子のために麻薬の運び屋となった男がメキシコの組織と組んだ仕事で失敗し、刑務所送りに。その間に組織のボスは妊娠中の妻を拉致し、彼女と子供に無事でいて欲しいのなら極悪人の集まるレッドリーフ刑務所に送られるような問題を起こし、そこに収監されているある囚人を殺せと命じてくる…。

とにかくヴィンス・ヴォーン演じる主人公が強い。強いといってもヒーロー的に強いというより、世の暴力的な男の中でも格段に腕力が強いという感じなのだ。その危なさが映画の静かな空気感とあいまって、常に一触即発の緊張感を漂わせる。活劇は静かな部分も血のたぎる肉体があるだけで、活劇であり続ける。その最初の炸裂といえる素手での自動車破壊のシーンは、文字通り "強力" だ。
そして肉体の赴く風土の描写は、前半の麻薬回収の夜の海からして凄みがあり、リアリスティックにも感じられていたのだが、レッドリーフ刑務所に至って完全に「地獄に来ました」というところまで持っていくのは正に力技。ドン・ジョンソン演じる刑務所長は悪魔そのものだ。密閉された屋内でのスプラッタな暴力の狂宴は、ズシンと重みを残す。

『ブルータル・ジャスティス』の銀行員役でも印象的なジェニファー・カーペンターが、主人公の妻役でいいところを見せる。

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デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(字幕版)