鑑賞録やその他の記事

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ウォーク・ザ・ライン/君に続く道』(2005)

書き下ろしです。 『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』を DVD で。いまやアメリカ映画界を代表する監督のひとりになったジェームズ・マンゴールドによるジョニー・キャッシュの伝記映画だ。ジョニー・キャッシュといえば、エルヴィス・プレスリーや先頃…

空飛ぶリチャード・タルマッジ

Facebook に 2020/ 6/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。 YouTube にリチャード・タルマッジのスタント集があった。自分もよく知らないひとだったが、1892年ドイツの曲芸団に生まれ、1910年代よりハリウッドでダグラス・フェアバンクスのスタントとし…

『キューティ・ブロンド』(2001)

Facebook に 2021/ 4/16 に投稿した記事に手を加えたものです。 ロバート・ルケティック『キューティ・ブロンド』。実は初見。エリートのボンボンに「キミはボクにはふさわしくない」とフラれたブロンドのギャルが一念発起、猛勉強でハーバードの法科に入り…

『教授と美女』(1941)

Facebook に 2020/10/ 5 に投稿した記事に手を加えたものです。 ハワード・ホークス『教授と美女』をDVDで。原作・脚本がビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットの名コンビ。百科事典を編纂している8人の世間知らずの教授の中にギャングの情婦が入り込…

私的バーバラ・スタンウィック祭り

Facebook に 2020/ 8/28 に投稿した記事に手を加えたものです。 "ミッシー" の愛称で知られるバーバラ・スタンウィックは、最愛の映画の一本である『レディ・イヴ』(1941)で大好きだったんだけど、『大平原』(39)を観たらまた良くって、『ゴールデン・ボーイ…

『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)

Facebook に 2018/11/11に投稿した記事に手を加えたものです。 池袋のシネマ・サンシャインで『ボヘミアン・ラプソディ』。既に皆さん御存知かと思うが、クイーンのボーカルのフレディ・マーキュリーを主人公とした実録ロック・ムービー。前半のエピソードを…

『ドライブ・マイ・カー』(2021)

Facebook に 2021/ 8/31 に投稿した記事に手を加えたものです。 濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』。登場人物たちの心の旅路をみごとな映像とドラマ演出で、清冽な緊張感を保ちながら見せきる3時間。賞をとることが納得できる立派な映画で、芸術を嗜…

『宇宙のデッドライン』(1960)

Facebook に 2021/ 6/ 7 に投稿した記事に手を加えたものです。 アマゾン・プライムに『宇宙のデッドライン』があった。かつて『未来からの脱出』の題名でテレビ放映されたエドガー・G・ウルマー監督の(例によって)低予算映画で、AIPのSF。これがウルマー…

ディック・パウエルのフィリップ・マーロウ『ブロンドの殺人者』(1944)

Facebook 内のグループに 2020/ 9/12に投稿した記事に手を加えたものです。 レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウもの「さらば愛しき女よ」を映画化した『ブロンドの殺人者』(ひどい邦題w)を、数年前のリバイバル時に映画館で観て以来DVDで再…

安川有果『よだかの片想い』(2021)

Facebook 内に 2022/10/19 に投稿した記事をベースに書き下ろしたものです。 『Dressing Up』(2012)も面白かった安川有果監督の久々の長編映画ということで『よだかの片想い』を観る。松井玲奈扮する顔に痣のある主人公を題材にしたルポ本を「映画化したい」…

安川有果『Dressing Up』(2012)

Facebook 内に 2015/ 9/ 5 に投稿した記事に手を加えたものです。 イメージフォーラムで、安川有果監督長編デビュー作品『Dressing Up』を観る。面白かった!異邦人として田舎町にやってきた少女(四宮秀俊撮影による車が街に乗り入れる一連の優れたショット…

ブレッソンの強烈な一撃『湖のランスロ』(1974)+『たぶん悪魔が』(77)

Facebook 内に 2022/ 3/ 22 に投稿した記事に手を加えたものです。 ロベール・ブレッソン監督作でずっと観たかった『湖のランスロ』を新宿シネマカリテで。アーサー王伝説に登場する騎士ランスロの物語で、後で調べたら幼少時に湖の精にさらわれたことに由来…

『イヴの総て』(1950)の巧さ

Facebook に 2018/ 6/10 に投稿した記事に手を加えたものです。 大昔に録画しておいた『イヴの総て』を観る。似たタイトルのドラマなどもあるようだが、これはアカデミー賞6冠に輝くジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の古典的名作。演劇界を舞台に、大女…

『暴力部落の対決』(1957)

Facebook に 2021/ 4/12 に投稿した記事に手を加えたものです。 『暴力部落の対決』をDVDで。テレビドラマ『シャイアン』『サンセット77』などを手がけた職人、リチャード・L・ベア監督によるランドルフ・スコット西部劇。敬虔なクエーカー教徒に化けたラ…

高橋洋印の濃縮ジュース『ザ・ミソジニー』(2022)

Facebook に 2022/ 7/24 に投稿した記事に手を加えたものです。 "カリコレ" で高橋洋監督作品『ザ・ミソジニー』を一足早く。劇作家でもある女優が自分の夫を略奪した女優を館に呼び寄せ、おぞましい母親殺しの実録芝居の稽古を始める。すぐに芝居と現実の境…

『アルキメデスの大戦』(2019)

Facebook に 2019/ 8/18 に投稿した記事に手を加えたものです。 山崎貴監督作品『アルキメデスの大戦』。まず最初に-予告篇でも感じたから観に行ったのだが-菅田将暉が圧倒的に素晴らしいということだけは言っておかなければ。以前から好きな役者だったの…

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

Facebook に 2019/ 9/10 に投稿した記事に手を加えたものです。 ※最後に盛大にネタバレしています※ クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。1969年のハリウッドへ小ネタ豊かに観客を案内する体験型のテーマパーク。…

観比べ『模倣の人生』(1934)『悲しみは空の彼方に』(59)

Facebook 内に 2022/ 8/ 7 に投稿した記事に手を加えたものです。 『模倣の人生』(ジョン・M・スタール監督)と『悲しみは空の彼方に』(ダグラス・サーク監督)を観比べる。いずれもファニー・ハーストの小説 "Imitation Of Life" の映画化で、後者はリメ…

ヘタ映画の効用

Facebook に 2019/ 9/19 に投稿した記事に手を加えたものです。 深夜のテレ東などで低予算映画の駄作を観ると、語りが停滞して、物語から取り残された映像を眺めている感覚にとらわれることがあった。例えば登場人物が場所移動するときに普通は省略するとこ…

『あのこは貴族』(2020)

Facebook に 2021/ 4/13 に投稿した記事に手を加えたものです。 『あのこは貴族』を池袋シネ・リーブルで。東京の裕福な家庭の娘、門脇麦と、地方出身で苦労する水原希子の、対照的なふたりの生き方を描く。ちなみにタイトルの「貴族」とは本物の名家という…

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を三度観る

書き下ろしです。 ふと思い立って、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の映画版を3ヴァージョン、観てみた。原作はジェームズ・M・ケインが1934年に発表した犯罪小説の古典で、俺も学生の頃に読んだ。田舎町の車道沿いの食堂に雇われた流れ者が店主の若妻とね…

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021)

Facebook 内に 2022/ 1/29 に投稿した記事に手を加えたものです。 晴れた土曜だしオサレ映画を観てやろうと、ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(21)へ。観終えたいまも、もちろんタイトルは覚え…

滑稽で哀しい残酷劇-『傷だらけの挽歌』(1971)

Facebook 内に 2020/ 9/28 に投稿した記事に手を加えたものです。 ロバート・アルドリッチ『傷だらけの挽歌』を数十年ぶりにDVDで再見。ハドリー・チェイスの有名な犯罪小説「ミス・ブランディッシの蘭」の二度目の映画化(※注1)で、大金持ちの令嬢誘拐を…

異常メロドラマ-『枯葉』(1956)

Facebook 内に 2018/ 9/15 に投稿した記事に手を加えたものです。 アルドリッチ『枯葉』は異常メロドラマだった。ひとりの女性がバートと名乗る謎めいた男性と恋に落ちるがゆえにトラブルに巻き込まれ、苦悩しながらも戦いぬく様を "力強過ぎる" タッチで描…

活劇的に演出された英雄悲劇-『悪徳』(1955)

Facebook 内に 2018/ 6/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。 『何がジェーンに起こったか』(1962)余波でロバート・アルドリッチ監督作品を DVD でもう一本、『悪徳』。原題は "The Big Knife" とカッコイイ。これが実に『ジェーン』と共通項の多い映画…