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空飛ぶリチャード・タルマッジ

Facebook に 2020/ 6/ 6 に投稿した記事に手を加えたものです。

YouTubeリチャード・タルマッジのスタント集があった。
自分もよく知らないひとだったが、1892年ドイツの曲芸団に生まれ、1910年代よりハリウッドでダグラス・フェアバンクスのスタントとして活躍。20年代より役者として主演作でアクションを披露。自身のプロダクションも設立。トーキー後も数本の主演作を発表したが、間もなく役者としては第一線からは退く。その後は監督・第二班監督・スタントコーディネーターとして活動を続けた。人望があったんだろう。
なんで今回、このひとを調べることになったかというと、もともとは第二班監督として参加していた1967年版『007 カジノロワイヤル』のクライマックスのドタバタを、このひとがノン・クレジットで演出してると知ったから。当時75歳であれだけの人数が入れ乱れるシーンをビシバシさばいたかと思うと、なかなか頼もしい。だいたいあの映画はあのクライマックスでようやくまとまった感があり、プロデューサーのチャールズ・フェルドマンも最後の拠り所と泣きついたんじゃないか。自身もサイレント映画のドタバタ・コメディに登場するような警官役(いわゆる "キーストン・コップ")でちらりと出演している。
それにしてもスタント集は宙を舞う凄いアクションで、キートンにも比肩するほどだ。主演作の多くがソビエトで配給され、人気だったという。こういうひとも忘れないようにしないとな。また「スタントマン出身の監督」というお題であれこれ考えるのも、面白いかもしれない。