2024-01-01から1年間の記事一覧
書き下ろしです。 本多猪四郎監督・円谷英二特技監督の黄金コンビによる海洋SF『海底軍艦』(1963)『緯度0大作戦』(69)を、録画で続けて観た。後者は子供の頃に観たはずなのにほとんど覚えてないので、どちらも初見のようなものだ。 まず『海底軍艦』は、…
書き下ろしです。 川越スカラ座のハロウィン映画祭、2024年11月1日の最終日に駆けつける。 鶴田法男監督の相原コージ原作の旧作『Z 〜ゼット〜 果てなき希望』(2014)上映に、監督と特殊メイクの中田彰輝氏の和気あいあいとしたトークショー、中田氏が川越ま…
書き下ろしです。 シネマヴェーラ渋谷のアイダ・ルピノ特集でノン・クレジットながら実質初監督作品となった『望まれざる者』(1949)を観る。すでに他のアイダ・ルピノ監督作を全て取り上げたので(※注1)、これも外すわけには行かないだろう。もともとはサ…
書き下ろしです。 シネマヴェーラ渋谷で開催中のアイダ・ルピノ・レトロスペクティブ「カメラの両側で…」で未見だった3本の監督作を観て、この麗しい女優が凄い監督だという確信を、ますます深めた。ということで本記事は、2023年7月4日の "アイダ・ルピノ…
書き下ろしです。 YouTube にテリー・O・モース監督作『ギャング王デリンジャー』(1965)が全篇あがってるのを、発見した。1930年代に数々の銀行強盗を繰り返した有名なギャング、ジョン・デリンジャー伝の映画の1本。同じ題材のものには、当ブログでも取り…
書き下ろしです。 シネマヴェーラ渋谷で、離婚を決意した妻が旅に出かけるという点で共通するハリウッド黄金時代の傑作コメディを二本。 うちジョージ・キューカー『女たち』(1939)は以前、無字幕のを睡眠不足で観たときに眠ってしまった。こんな風に、どん…
書き下ろしです。 シネマヴェーラ渋谷が9月7日から「プレコード・ハリウッド」なる特集をやるらしい。ご存知ない方のために書くとここでの "コード" とは、宝塚歌劇のコメディ(※注1)の題材にもなったいわゆる "ヘイズ・コード" のことで。1934年からア…
書き下ろしです。 さる7月27日の土曜日、池袋の立教大学タッカーホールの公開講演会「映画人との対話 VOL.2 ~映画監督・黒沢清氏を迎えて~」に行ってきた。司会進行は同大学の現代心理学部映像身体学科で教鞭をとる篠崎誠監督。これが隅々まで映画キッド "…
書き下ろしです。 フランク・キャプラ監督作品で観た中で最高に好きな『奇蹟の処女』(1931)がスクリーンで観られるので、いそいそと同監督特集中のシネマヴェーラ渋谷へ。もちろん若きミッシーことバーバラ・スタンウィックの魅力を堪能する目的もある(※注…
書き下ろしです。 今年の3月、以前観た『息の跡』(2015)が素晴らしかった小森はるか監督の新文芸坐での特集に出かけ、『空に聞く』(2018)『かげを拾う』(2021)を観た。いずれも初見だが、特に前者がかなりの傑作で、驚き、心奪われてしまった。 小森監督は…
書き下ろしです。 アメリカ映画のがっつり肉食系ラブコメでも観るかと、いかにもそれっぽいウィル・グラック監督作『恋するプリテンダー』(23)へ。ヒロインがローリング・ストーンズの『アングリー』のMVで元気にセクシーさを振りまいていたシドニー・スウ…
書き下ろしです。 奧山順市の『我が映画旋律』(1980)を最初に観た衝撃は忘れられない。 ハイコントラストな白黒の7分間のフィルムで、メインのイメージは、黒地に素早く伸び縮みする白い横縞。伸びて画面端を過ぎるたびに不思議な音を立てる。突如、耳を聾…
書き下ろしです。 三宅唱監督の新作『夜明けのすべて』(2024)を観る。 PMS(月経前症候群)を患い、月に一度自分がコントロールできなくなってしまう藤沢美紗(上白石萌音)は、仕事に大失敗して失職。病気に理解ある新たな就職先で、パニック障害を抱え…
書き下ろしです。 マレーシア出身で大阪を拠点に活動するリム・カーワイ監督の最新作『すべて、至るところにある』を、渋谷のイメージフォーラムで観た。 バルカン半島で出会った女性エヴァ(アデラ・ソー)と男性映画監督ジェイ(尚玄)。ふたりは意気投合…
書き下ろしです。 2022年末に好評だったカール・テオドア・ドライヤー監督特集が、再び開催されている。今回新たに加えられた3作のうち『あるじ』を観た。初見。1925年、ドライヤーが30代半ばのときに母国デンマークで撮ったもので、フランスなどで大ヒット…
書き下ろしです。 八鍬新之介監督作『窓ぎわのトットちゃん』(23)を観る。言わずとしれた黒柳徹子の大ベストセラーの映画化で、黒柳は製作にも名を連ね、ナレーションも務めている(※注)。 勉強不足なことに自分はこの原作、読んでないのだ。ただしそんな自…
書き下ろしです。 ヴィム・ヴェンダース監督が日本で撮影し、役所広司がカンヌで最優秀男優賞に輝いた『PERFECT DAYS』(2023)を観た。 役所演じるひとり暮しの男、平山が、朝起きて車で出発し、渋谷各地の公園のトイレを清掃してまわる繰り返しの日々と、そ…
書き下ろしです。 ヴィンセント・ミネリの公式な監督デビュー作(※注1)『キャビン・イン・ザ・スカイ』(1943)を観る。ブロードウェイのヒット・ミュージカルの映画化で、アメリカ南部を舞台に登場人物は全員黒人という趣向だ。 お人好しのリトル・ジョーは…