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『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)

Facebook に 2018/11/11に投稿した記事に手を加えたものです。

池袋のシネマ・サンシャインで『ボヘミアン・ラプソディ』。既に皆さん御存知かと思うが、クイーンのボーカルのフレディ・マーキュリーを主人公とした実録ロック・ムービー。
前半のエピソードを追う展開が平坦で「失敗か」と思いかけた。ミュージシャン物で無名から出世していくときの面白さがいまひとつ、感じられないんだもの。
しかしながら、フレディとヒロインのメアリーとの亀裂をクローズアップしたあたりからグッと演出に力が入り、ラストのライブ・シーンを盛り上げるのに欠かせない「感激して観てる顔」という重要な役割を彼女に委ねるのにつながる。評判の高いフレディ役のレミ・マレックはもちろんいいが、メアリーのルーシー・ボイントンも好感度大。
リオの大合唱がテレビから流れる破局でメアリーは窓を見る。窓は二人を隔て、その後の電気スタンドの光の交信も虚しい。久しぶりにフレディのもとに彼女が来るのは、窓を思わす雨のガラスの向こうから。車に乗り込んだ彼女とフレディの間にはサイドウィンドウ。だが最後にメアリーがライブを観るとき、隔てる窓はない! こういう演出と作劇の一体化が、クライマックスをきっちりと盛り上げるんだよな。
クイーンにさして思い入れのない俺もここまで満足したんだから、好きなひとはたまらんだろう。
監督はブライアン・シンガー。しかしこれはクレジット上のことで、実際は途中降板してデクスター・フレッチャーが仕上げたという。場繋ぎに他のひとが撮った部分もあるかも知れない。

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ボヘミアン・ラプソディ