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『宇宙のデッドライン』(1960)

Facebook に 2021/ 6/ 7 に投稿した記事に手を加えたものです。

アマゾン・プライムに『宇宙のデッドライン』があった。かつて『未来からの脱出』の題名でテレビ放映されたエドガー・G・ウルマー監督の(例によって)低予算映画で、AIPのSF。これがウルマー作品の中でもかなりの傑作で、初見時には相当な衝撃を受けた。
主人公のパイロットが図らずも時間飛行をしてしまい、未来に辿り着く。本人にとってはつい数時間前までいつもの職場だった空軍基地が廃墟になってるシーンが強烈だ。机と椅子のショットにセリフがかぶるところを見て欲しい。これが悪夢というものだ。
本筋に入ってからも抽象化された美術と人物が画面に気持ち悪い感触を漂わせ、救われないラストへと向かっていく。「後味の悪さ」こそを、しっかり味わうような映画だ。
ゴダールは『ゴダールの探偵』(85)でウルマーに献辞を送っているぐらいなので、低予算SF的雰囲気が濃厚な『アルファヴィル』(65)あたりは本作の影響下にあるのかも知れない。

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宇宙のデッドライン(字幕版)