鑑賞録やその他の記事

『ブレット・トレイン』(2022)

Facebook に 2022/ 9/ 5 に投稿した記事に大幅に手を加えたものです。

デヴィッド・リーチ監督作『ブレット・トレイン』。
オフビートで騒がしいマンガを、ブラピが楽しそうに演じるお気楽コメディ・アクション。伊坂幸太郎原作というのも話題で、舞台は一応、日本。といっても実際とは違う「映画の国のニッポン」で、徹底した現実無視ぶりがかえって清々しい。
タイトルは新幹線を意味し、東京から京都までの路線に謎の鞄の運び屋として乗り込んだブラピが、次々とそれぞれに目的の違う殺し屋たちに出会う。突飛なキャラクターの見本市で、友だちと「あいつとあいつが良かったよね!」的な楽しみ方をするのに向いてる。
そして新幹線の旅の長さ! イメージとしては大陸横断鉄道かオリエント急行みたいな長距離列車で、京都までに一晩明けちまう。特に米原-京都間が長い長い。日本人としては現実を知ってるだけに、通常の時間から解き放たれたような、不思議な感覚に襲われる。
全篇サービス満点で、「伏線回収ごっこ」を楽しみつつ、いったん騒動が始まればイクところまでイッちゃうのを、呆れて笑って観ればいい。何かというとポップな音楽が鳴って大仰なスローモーションになったりするのは、いかにも MTV 的な最近の流行りだけど、まあ、好きなひとは好きなんでしょう。個人的には、蛇毒使いの殺し屋との対決での、短くもシャキッとした逆転劇が気に入りました。
真田広之が美味しい役どころで堂々としてる。かつての東映の若手アクションスターも、もはや長老なんですね。『ザ・ロストシティ』(22)を観たひとには、嬉しいキャスティングのお遊びもあり。撮影開始はこちらが先らしいけど、ハリウッドのセレブなスターが、互いが主演のお気楽アクション・コメディで交流を深めるってのは、いいよなあ。