鑑賞録やその他の記事

『天間荘の三姉妹』(2022)

Facebook に 2022/11/ 3 に投稿した記事に手を加えたものです。

天間荘の三姉妹』を観る。
いま作られることの大切さを考えたメッセージ性あふれる意欲作で、最初の長回しから「映画だぞ!」と堂々と打ち出し、砂浜に寝転ぶ真俯瞰から海と空へのメインタイトルの出方も綺麗で、柳葉敏郎の暮らす現世に移る呼吸など細部にうまみもあり、なんと言ってものんは素晴らしい。顔も芝居もいいが、仲居の茶衣着やウェットスーツといったコスチュームの決まり具合が映画を引っ張ってしまうのは、ホント、凄いと思う。全体に立派なプロの皆さんが気合を込めて作り上げた作品で、その心が通じて救われた気持ちになるひともいるだろうし、それは宝のような映画体験だと思う。
だから、最初から漂う微温的な雰囲気、日常系アニメを実写にしたみたいな言動、あからさまな讃歌的盛り上がりが、どうにも気恥ずかしくて耐えられず、観ながら何度も「勘弁して下さい!」と言いたくなったのは、全く俺が悪いのです。すいませんすいません! でもこれが苦手で、例えば『天国から来たチャンピオン』(1978)『ヒア アフター』(2010)『ゴーストブック おばけずかん』(22)等々はOKなのは何故かを考えるのは、自分で自分を知るのに大事な気がします。だから観て良かったです。

tenmasou.com