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『シン・ウルトラマン』(2022)

Facebook に 2022/5/13 に投稿した記事に手を加えたものです。

シン・ウルトラマン』を公開初日に観た。

冒頭から数分は、自分のような「ウルトラ世代」はかなりわくわくする仕掛けがある。特にウルトラマン初登場シーンは、幼い日にテレビ・シリーズが始まる前、雑誌の絵で見たときの異形の超人への驚きと期待を呼び覚まされて、とても良かった。

基本的には好きになれる作品である。オリジナルへの尊敬の念を込めつつ、それなりに考え、趣向を凝らして作っていることはよく分かる。
だが面白いかというと、正直、自分には微妙であった。ウルトラマンという「宿題」をこなすのに必死で、(「CGで蘇るウルトラマン」というイベントとしてはともかく)劇映画として観客をワクワクさせるまでいかなかったのでは。

特になぜ主人公・神永が助けた子供をドラマに関わらせなかったのか、大いに疑問だ。この子こそが「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」のキモではないか。ほとんどの大人がウルトラマン=神永を敵視してもその子だけは信じてるようなドラマにしてこそ、ウルトラマンを作る意味があるんじゃなかろうか。大人だけのドラマにしたいのなら『シン・ゴジラ』(16)で充分だ。

ネタバレになるので具体的には書かないが、クライマックスも、もっとこうしたらいいんじゃないかという考えが2つ3つよぎる。皆さんもそれぞれ、考えてみて下さい。
あと庵野調を意識したのか、実相寺リスペクトか分からないけど、ドラマ部分の奇矯なカメラワークが功を奏してないように思える。残念ながら見辛いだけだ。「ドラマ演出の良さを求めて観る映画でもないでしょう」というひともいるかも知れない。だったら、余計、普通に撮れば-と思う。

長澤まさみは、いつもながらの鼻っ柱の強い長澤まさみを演じていて、アニメ的なセリフを吐いても違和感がない。斎藤工も雰囲気がある。山本耕史はモノマネしたくなる。だが個人的には、早見あかりに殊勲賞をあげたい。