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『ゴーストブック おばけずかん』(2022)

Facebook に 2022/ 7/23 に投稿した記事に手を加えたものです。

山崎貴監督作品『ゴーストブック おばけずかん』。

手を尽くし考えた末に、「気楽に楽しめる」を実現してしまった嬉しい仕事。ちょっと頼りない先生と子どもたちのチームが、奇妙な町を舞台に一匹ずつ妖怪との戦いをこなしていく感じは、どこか漫画のジョジョ杜王町篇を思わせる。風通しのいいざっくりとした感じも共通するが、一本の映画としてはゆるゆるになり過ぎてもいない。かといって急き立てられることなく、いい塩梅で空想世界に浸れた。日本映画では得難いさじ加減だ。お涙要素もグダグダにならず、さわやかに見せる趣味の良さ。
なんといっても子どもたちがみんないい。個性の描き分けも、要所要所での芝居も、みごとだ。家族や仲間と観終えてから、誰が気に入ったか語り合うのも楽しかろう。ガッキーも、登場シーンの電話が「うわあ、説明」って感じでどうなることかと思ったが(彼女のせいではない)、ちょっと変わってる美人を気持ちよく演じている。身代わりオバケとの対決でお茶の乗った盆をずっと持ってるのとか、いい感じ。

山崎監督は評判になった『ALWAYS 三丁目の夕日』(05)やヒット作『永遠の0』(13)は、ノレなかったのだが。最近の『アルキメデスの大戦』(19)と本作は実に良い。ベテランになっても、映画を観て勉強されてるんだろうなあ。何より二作とも、役者の芝居を活かすことにイキイキと専念してるのが伝わる。
大人にも楽しめる佳き夏休み映画だ。