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サム・ペキンパー『昼下がりの決斗』(1962)

Facebook に 2020/11/10 に投稿した記事に手を加えたものです。

サム・ペキンパー監督作品『昼下がりの決斗』(62)。
とある金鉱から金を持ち帰る仕事にありついた元保安官(ジョエル・マクリー)と、その応援に雇われた曲者ガンマン(ランドルフ・スコット)の旅と顛末を描く。
マクリー、スコットという往年のスターが年老いてからの顔合わせで、ランディ(スコット)はこれが引退作。ルシアン・バラードのカメラは時おり俯瞰気味になったりして角度に工夫を凝らしつつ、強度のある絵作りを重ねていく。
ペキンパーはまだ血みどろスローモーション以前だが、殴り合いにも銃撃にもがっちりした手応えがある。撃たれた男が死ぬ前に相手を何とも言えぬ顔で見るなどの生々しさは、やはり他の監督とは違う。
主役の2人は役柄的にも見た目的にも老けを感じさせるのだが、ランディは実のところ『反撃の銃弾』(57)や『決闘コマンチ砦』(60)あたりのバッド・ベティカー監督との素晴らしいコンビ作の数々から、そんなに離れてないんだね。でも気取らず老いを晒して身軽になったというか、いい味が出ている。んで、なかなか悪い奴で、真面目なジョエル・マクリーを騙すのに失敗し、逃げ出すのだが、最後の悪役連中との決闘で「ここぞ」というときに助太刀に現れるのが嬉しい。
でさ、こういう泣ける悪役って、普通、死ぬキャラじゃん。それがどうなるか…は、まあ、書かないけど、IMDb情報ではラストの展開はペキンパーのアイデアなそうで、「なるほど」と思った。
ペキンパーはちょっとひねる。ここを押さえずして、その後の彼の作品は語れまい。
ヒロインでこの映画がデビュー作のマリエット・ハートレイが、ちょっと中性的な面白い雰囲気。今でも活躍してるそうで、息の長い女優さんだ。