鑑賞録やその他の記事

2023-01-01から1年間の記事一覧

グレゴリー・ペックの陰鬱な西部劇『無頼の群』(1958)

Facebook の 2021/ 1/ 9 の投稿に手を加えたものです。 『無頼の群』を観る。西部劇史上の傑作『拳銃王』(50)同様、ヘンリー・キング監督がグレゴリー・ペックと組んだ西部劇だ。緊密な『拳銃王』に比べ、カラーでシネマスコープな分、ざっくりとした画面構…

東映実録路線を予告する『日本暴力団 組長』(1969)

Facebook の 2019/ 2/16 の投稿に手を加えたものです。 録画しておいた『日本暴力団 組長』を観る。初見。深作欣二監督が『仁義なき戦い』(73)で東映実録路線を開花させる4年前の69年作だが、すでに現代ヤクザの陰謀渦巻く勢力争いをリアルな暴力シーンを交…

西河克己監督の充実作『四つの恋の物語』(1965)

Facebook の 2019/11/11 の投稿に手を加えたものです。 新文芸坐の芦川いづみ映画祭で二本。 井田深監督作『青春を返せ』(1963)は、この監督の中でも評価の高い一本で、かなりシリアスな力作。長門裕之演じる兄の冤罪を晴らすため、妹がそれこそ身を削って真…

増村保造のミステリ活劇『闇を横切れ』(1959)

Facebook の 2018/10/30 の投稿に手を加えたものです。 文芸坐で未見だった増村保造監督作品『闇を横切れ』。デビューの翌々年、59年の作品ながら11本目という驚異のハイペース。マッギヴァーンの作品に想を得たというミステリーで、翌年から石井輝男が『地…

イーストウッド、還暦の大衆娯楽活劇『ルーキー』(1990)

Facebook の 2018/10/30 の投稿に手を加えたものです。 午後のロードショーで録画したクリント・イーストウッド監督作『ルーキー』、映画館のロードショー以来の再見。ベテラン刑事のクリントがタイトル通りの新米チャーリー・シーンと組んで活躍。大きな見…

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(1975)

Facebook の 2022/ 5/10 の投稿に手を加えたものです。 シャンタル・アケルマン映画祭で公開中の『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を観る。デルフィーヌ・セイリグ演じる名もなき未亡人の日常とその崩壊を描き、最初の場…

007 あれこれ~その1

Facebook や Twitter への投稿に手を加え、再構成したものです。 007 映画とは何か。答えはいろいろあろうが、自分にとっては「悪役がボンドをなかなか殺さないもんだから殺されちゃう映画」と言えるかも。第一作『ドクター・ノオ』(1962)は捕まえたのに殺さ…

或日の鈴木清順演出

Facebook の 2017/ 2/23 の投稿に手を加えたものです。 実は俺、鈴木清順監督の『ピストルオペラ』(2001)に出てるんですよ。幻想シーンに登場する亡霊たちのひとり。プロデューサーの片嶋一貴によるキャスティングで、高橋洋、成田裕介監督らと共に調布の日…

おぞましい珍品『殺しを呼ぶ卵』(1968)

書き下ろしです。 新宿シネマカリテで『殺しを呼ぶ卵』。マカロニ・ウエスタンの中でも特に残酷な『情無用のジャンゴ』(67)のジュリオ・クエスティ監督による猟奇サスペンスだ。以前 YouTube に英語版が全篇あがってる(※注1)のを発見し、冒頭を観ただけだ…

青春ラブストーリー『花束みたいな恋をした』(2021)

Facebook の 2021/ 2/ 6 の投稿に手を加えたものです。 土井裕泰監督作品『花束みたいな恋をした』(※注)。オタク気質の男女が出会い、長い春を経て別れるまでを描く-と書いてもネタバレじゃないですよ、既に別れてるところから始まって数年前の出会う前に…